ホーキング博士が分かる本【ホーキング虚時間の宇宙】

1. ———スティーブン・ホーキング博士

幼い頃に見たドキュメンタリーの中に登場した、天才と呼ばれた学者の名前。

“車椅子の天才”と呼ばれたり“車椅子のニュートン”と呼ばれたり、“アインシュタインの後継者”と呼ばれたり。

———ドキュメンタリーでは、数々の逸話が語られていました。

・ベストセラー作家だったり。

・歌手としてデビューして歌を歌っていたり。

・歌った歌の歌詞の中、物理の数値が間違えていると指摘した同僚の学者に、車椅子アタック(ただのひき逃げ)をしかけたり。

・無類の賭け好きで、物理理論についての賭け事に没頭ししていたり(景品は“ポルノ雑誌”だったり“ユーモア雑誌”だったり“百科事典”だったり……)。

そんな、スティーブン・ホーキング博士。

彼は世界をどういう風に見て、何を考えていたのだろうか。

2. ホーキング博士の、頭の中をのぞく本。

ホーキング博士には“車椅子のニュートン”という二つ名がありますが、その功績はアインシュタインの系譜です。

『アインシュタインの相対性理論を発展させて、そこに量子力学をくっつける』ということを研究していたホーキング博士は、ブラックホールと宇宙そのものについての分野で、とてつもない功績を残しています。

おそらく最も有名なのが“特異点定理”。

『この世界には始まりと終わりがあって、それぞれは“特異点”と呼ばれる一点の計算不能領域であった』と、いう理論です。

もっとも現在では、“宇宙の不均衡”や“超弦理論”を考える中で『宇宙の始まりは特異点にはなり得ない』とい理論も展開されていることから、特異点定理が宇宙の真理であることは、どうやら……なさそうなのですけれど。

それから、“ブラックホールには毛がない定理”なんかはもう、名前だけで面白いですよね。

そんなホーキング博士の業績と考え方を分かりやすく教えてくれます。

ホーキング博士には、ベストセラーの『ホーキング、宇宙を語る』シリーズも刊行されていて、こちらもすごいオススメですよ。

3. ホーキング博士の名前だけは知っていた。……でも、それ以外は知らなかった。

……でも、それ以外は知らなかった。

物理学に興味を持って調べるうちに、ホーキング博士の名前を知るでしょう。

「この人は何をやった人なんだ?」

ニュートンは、万有引力を見つけた人。

アインシュタインは、相対性理論を作った人。

———他にも。

ケプラーの法則は聞いた事があったり、ボーアの原子模型の事は知っていたり。

有名な物理学者たちの功績は、大体の場合、教科書なんかに載っています。

でも、ホーキング博士は、その有名度合いに比べて功績が分かりにくい学者の一人だと思うのです。

僕も初めてホーキング博士のことを知ったとき、「この人は何をやった人なんだろう」と思っていました。

物理学のドキュメンタリー映画で、他の博士の功績はすごくわかりやすく説明してくれているのに、ホーキング博士の事は“車椅子の天才”とか“アインシュタインの後継者”だとか言うだけで、一向にどんな人だったのかが分からなかった。

『ホーキング、宇宙を語る』は、検索すると初心者には難しいという風なことが書いてあって、尻込みしていた。

そんな時に出会ったのが、今回紹介する『ホーキング虚時間の宇宙』だったのです。

4. この本は比較的に軽い本です。

ホーキング博士が直々に書いた方の本は、“じっくりと浸る本”とでも言いましょうか、サクッと読める本ではない気がします。

『時間を取って、夜にゆっくり読むような本』といった感じですね。

それからもう一つ、ホーキング博士が書いた本は、ホーキング博士が書いたのですから、ホーキング博士の功績については、あまりハッキリと区別して書いてありません。

「ホーキング博士に物理を教えてもらいたい!」というならともかく、「ホーキング博士って何をやった人?」

ってなっていたかつての僕のような人には、“他の誰かが書いたホーキング博士の本”がオススメです。

———そう、この『虚時間の宇宙』のような。

5. 個人的なおすすめポイント

個人的なおすすめポイントは、『第二章:ブラックホールだってしまいにゃ蒸発する』です。

『ホーキング放射の発見』というところですね。

ホーキング放射の意味は二つ、両方とも同じ意味ですが———

1、大きく重たいブラックホールは冷たい。

2、小さく軽いブラックホールは熱い。

小さいブラックホールは熱いから、

宇宙の気温よりも熱いから、

熱を放出して消えてしまって、

宇宙には、大きなブラックホールだけが残っている。

———どうですか? 読みたくなって来たでしょう。

この本の中で、一番好きなくだりです。

6. 最後に一言

この本の題名にある“虚時間”というのは、『4次元時空間の座標を作るときに、虚数の方向に時間軸を取る考え方』のことです。

実はこの虚時間の部分もおすすめだったんですけど、説明するとややこしい上に、ちょっと哲学的な感じなったりしますので、単語だけを出して終わりにさせて頂きます。

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