物理や数学の“楽しみ方”を教えてくれる【物理数学の直観的方法】

1. 方程式、実は視覚でイメージできるって知ってましたか?

“物理学”や“数学”といったものを思い浮かべるとき、あなたはどう言ったモノをイメージするだろうか。

僕はずっと、『複雑怪奇な計算』とか『厳密な数式による証明』とか。

とにかく、そう言ったモノをイメージしていました。

———でも、「そんなに難しく考えなくてもいいんだよ」と、教えてくれたのが、実はこの本だったのです。

物理も数学も、もっともっと分かりやすくて、イメージしやすいモノだったんだよ、と。

2. 方程式を見て、その意味を“一瞬で”理解するための本。

知ってみると当たり前だけど、知る瞬間に世界が変わる。

この本は、題名が全てを表しています。

『物理数学の直観的方法』。

物理によく登場する数式の中でも、何がなんだかよく分からないぜってなる分野を中心にして、“直観的”に理解できる“方法”を見せてくれる、古典かつ最先端の一冊。

「オイラーの数式は導出したけど、そもそもコレってどういう操作を表して-1になる数式なの?」

「電磁気学でよく出てくるrotだけど、なんで別成分で微分してんの?」

……とか。

参考書や先生の導出を見て、『理解はできるけど納得できない』ってなった人も多いと思います。

確かにその通りに式変形したり代入したりすれば、ちゃんとこの公式が導出できるのは分かる。

……でもなんか、しっくり来ない・納得がいかない。

そんなことは、誰しもが、一度と言わず経験するモノ。

数学や物理がニガテって人の中には、結構な割合で『数式に納得がいかない』『式を見てると頭の中を素通りする』って言うパターンの人がいると思うのです。

そういう人たちへの、イチ推しがこの“物理数学の直観的方法”です。

3. 知っている人は知っている。長沼伸一郎さんの代表作、“物理数学の直観的方法”。

「はじめて腑に落ちた」

「難解な数学的手法の意味が、目からウロコが落ちるように理解できた」

「最小限の努力で本質が理解できる、理系の最強アイテムだ」

新書のオビや裏表紙に書かれている絶賛の文言は、決して過大評価ではありません。

実に的確な感想で、読み始めたら止まらなくなる一冊です。

本屋さんで見かけたならば、『第四章:$ e^{iπ}=-1 $の直観的イメージ』だけでも開いてみてください。

———たぶん世界が変わりますから。

オイラーの公式について解説してくれている本はたくさんあります。

厳密な数式による計算。

定義から始まる一片の|隙《すき》もない証明。

……でも、辿り着くまでがとっても長い。

出発点も到達点も教えないままに、地図ももらえずに「頑張れよ」と家を追い出されるようなモノ。

本を開けば、なぜ今それを勉強しなければいけないのかも分からないままに、“冪関数の微分”やら“ド・モアブルの定理”やらを解説してくる。

結果、迷子になってやめてしまうのです。

———僕はずっと、地図が欲しかった。

その時「知りたい」と思った公式や定理までの、一目で見て分かる地図が。

そして、たどり着いたたのがこの本でした。

4. 読み終えた時、あなたの目の前にはきっと、新しい景色が見えている

「理系ならば絶対に読むべき」とまで言い切ってしまえるほどの本。

圧倒的なまでの破壊力をもって数学の常識をぶっ壊し、おそらくは初めて、数学が分かったという感覚を、ちゃんと教えてくれるのです。

この本を読み終えるまでもなく、あなたはきっと、もっと数学の本が読みたくなります。

数式がいっぱいの物理の本だって、読んでみたくなるはずです。

“地図”はあるんだって知っているだけで、物理数学を勉強するのが、楽しくなってくるんですから。

5. 個人的なおすすめポイント

個人的なおすすめポイントは二つあります。

『第四章:$ e^{iπ}=-1 $の直観的イメージ』

『第五章:ベクトルのrotと電磁気学』

第四章は言うに及ばず。

この本の序文にも書いてあるように、テーマは“数学の直観化”なのです。

オイラーの数式の直観化に成功した僕は、そのまま家にあった他の$ e^{iπ} = -1$ 解説本を引っ張り出して読み返しました。

するとスラスラ頭に入ってくるのです。

頭の中に“地図”があるから、今解説している部分がなぜ必要なのか、それは$ e^{iπ}=-1 $のどこにつながる数式なのか。

それが、分かったんです。

とても素晴らしい体験でした。

『第五章:ベクトルのrotと電磁気学』では、ベクトルのrotの成分は$y$を$x$で微分したり$x$を$y$で微分したりしているけれど……。

コレがなぜ回転を表すのか、さっぱり分からなかった。

その直観化に成功した時の清々さたるやとてつもないモノがありました。

あのヘンテコな微分は、ちゃんと回転だったのです!

6. 最後に一言

僕は、学校の勉強において、数学でも物理でも落ちこぼれでした。落第ギリギリ。

数学も物理も好きなのに、数学にも物理にも好かれなかったのです。

……それでも。社会人になってもなお、諦められなかった僕から贈る、物理・数学に好かれるかもしれない本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました